【実例⑦】日当たりシミュレーション・日照シミュレーション_N様邸 中庭ロジアを東面と西面どちらに配置すべきか?
- 建物ラボ

- 2月25日
- 読了時間: 5分
皆様こんにちは。
年明けからかなり忙しく、更新も久しぶりになってしまいました。
有言実行できるように早く更新作業の習慣化したいですね!
今回は7回目の実例UPです。
富山県N様邸です。N様邸はロジア空間(高い外壁に囲まれた中庭)を東側に配置するのか?西側に配置するのか?で悩まれておりました。更にロジアに面した高い位置に高窓も検討されておりました。隣棟が迫っている建物配置条件で、方位もずれており工務店では正確な日当たり・日照シミュレーションを実施してくれないという事で、建物ラボにご依頼を頂きました。日当たりシミュレーション・日照シミュレーションを実施し、照度計算の数値を元に1つ1つ決定してゆきました。

北面にアパート、東面・南東・南・南西に2階建て戸建てが建っており、唯一西面が駐車場になっており日当たりが望める環境でした。こちらの駐車場は宅地にする予定は無い事を事前に把握済みでした。
中庭ロジアを設置してくつろぎのスペースを作ることがお施主様の必須条件でした。
ロジアとは高い外壁で囲まれた中庭です。高い外壁なので外からの視線を気にしないでプライベートな空間を作ることが可能です。上部に屋根は掛けないので、開放感も得られます。
中庭ロジア空間を東側に配置するのか?西側に配置するのか?どちらの方が明るさを得られるのか?それによって間取りも2種類作成されておりました。
工務店さんに任せていたところ不安になり、正確な日当たりシミュレーションを建物ラボにご依頼頂きました。
中庭空間は東面・西面どちらに寄せる方がいいのか?考え方は?
ロジアスペースを東がいいのか?西がいいのか?は、お施主様の生活リズムとどの時間帯の明るさを優先するかで大きく異なります。また、周辺建物の配置や窓の位置によるプライバシー性なども大きく影響を及ぼします。下記にメリット・デメリットを並べますので、取捨選択して決めます。そして、周辺建物の配置などを元に最終決定をします。
●ロジアスペースを東側に配置する場合
メリット
朝日を取り込める
東側にロジアを設けることで、朝から昼のやわらかな日差しを室内に取り込むことができます。特に朝食を取るダイニングやキッチンがロジアに面していれば、朝の時間を快適に過ごせます。
夏場の直射日光を避けやすい
東側は午前中に日が当たり、午後には日陰になるため、夏の強い西日を避けられます。これにより、冷房負荷を軽減できます。
早朝の活動が多い家庭に最適
早起きして家事や仕事を始める家庭の場合、東側のロジアは一日の始まりを快適にしてくれます。共働きで昼間は誰も家にいなく、日が暮れてから家族が集う世帯はAMの時間帯の明るさを優先するべきです。
デメリット
午後の採光が不足しがち
午後には日が当たらないため、午後以降の室内は暗く感じることがあります。リビングを東側に配置すると、夕方からの採光に工夫が必要です。
冬場の採光が弱い
冬は太陽高度が低く、東側からの日射が限られます。暖房効率を重視する場合は不利になることもあります。
通風計画に工夫が必要
東側からの風は、季節によっては安定しないことがあります。南北通風を確保するためには窓配置を工夫する必要があります。
●ロジアスペースを西側に配置する場合
メリット
午後から夕方の明るさを確保
西側にロジアを設けると、午後の時間帯にしっかりとした日差しが得られます。リビングを西側に配置すれば、夕方まで明るい空間を確保できます。
冬場の暖房効率が向上
冬の西日は貴重な暖房源になります。太陽光で自然な暖かさを室内に取り込めるため、省エネ効果が期待できます。
夕日を楽しめるスペース
ロジアで夕暮れ時の景色を楽しみたい場合、西側配置は最適です。アウトドアリビングとして活用すれば、リラックスした時間が過ごせます。
午後の外部活動がしやすい
子どもの帰宅後の遊び場や、夕方のBBQスペースとして活用する場合に適しています。
デメリット
夏場の西日が強烈
夏の西日は室内温度を大幅に上昇させます。西側窓には日射遮蔽部材が必須となります。
朝の時間の照度が不足
昼から夕方の日射取得が得意な配置なので、朝や昼前などは明るさ取得が苦手です。朝と夜しか在宅しない世帯はあまりメリット有りません。
●ロジア配置を選ぶ際のポイント
家庭のライフスタイルを考慮する
周辺環境を確認する
断熱・遮熱対策を含めた設計を検討
まとめ
N様邸は生活リズム的にAMの時間帯の明るさを優先したいという結論になりました。
また、西側が駐車場で西側の日差しが確保出来る為、照度計算の結果東面ロジアにしてもPMから夕方も明るさ確保出来ておりました。西側窓に日射遮蔽部材を設置する事により、西日対策も万全にして、トータル的な明るさが得られる(照度計算の結果)東側のロジア採用になりました。
ただし、こちらの結果は全てのお施主様に当てはまる訳ではなく、人によって異なります。
どの項目を優先して、どの項目は気にならないのか?取捨選択必要です。また、照度計算を実施する事により、エビデンスを元に1つ1つ決定する事が出来ました。
少しでも悩まれているのならば、日当たり・日照シミュレーションをご相談下さい。




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