【実例⑤】日当たり・日照シミュレーション_J様邸 2階リビングのメリット・デメリット
- 建物ラボ

- 1月18日
- 読了時間: 6分
皆様こんにちは。
年頭の目標でブログを定期的にUPすると決めて、何とか年明け2回目の更新を取り掛かりました。継続する事に意味があります。
今回は5回目の実例UPです。
栃木県J様邸です。J様邸は周辺建物環境は、周辺建物や樹木なども無く、非常に日当たりに恵まれた立地でしたが、南面に近い位置に建物がピンポイントに建っており、LDKへの日当たりを悩まれているお施主様でした。
今回は2階リビングのメリット・デメリットと日当たり・日照条件上どうなのか?を解説します。
●J様邸建物土地環境
私は、日当たり環境上、南面の直射日光は非常に重要な方位の太陽光と常日頃お伝えしております。
今回のJ様邸は、南面の直射日光が入らないという立地でした。ですので、2階リビングにすることにより、南面の隣棟を超える形で日当たりを確保する間取りにしました。

日当たりに影響する周辺建物は無いのですが、重要な南面の近い位置に隣棟がある土地条件でした。将来の階段の上り下りなどを考慮して、理想は1階リビングをご希望でしたが、1階リビングだと日当たりが望めないので、2階リビングにすることになりました。

こういった配置は、1つの業者が大きめの宅地を開発する場合、2つに分割しますので南北に分割されるとこういった配置になります。周辺環境は広く建物も少ないですが、この区画だけ建物が近くなってしまっております。
これも含めて土地の条件(価格や購入条件)ですので、これを考慮して建物を検討しなければなりません。
日当たり環境上このような建物配置の場合、2階リビングを検討できる建築スケジュール段階であれば、迷わず2階リビングをお勧めします。
1階リビングなのか?2階リビングなのか?で迷っている内に、初期プランの1階リビングで進んでいてもう変更できないなど、よく聞くあるあるです。
●2階リビングのメリット・デメリット
2階リビングにすれば全て解決なのか?という問題ではありません。明るさ環境上は良くなりますが、もちろんデメリットもございます。
【メリット】
・採光、通風性能のUP
リビングは住宅の中で一番滞在時間の長い空間です。ですので、住宅の中で明るくするのであれば最優先でLDK空間です。2階にLDKを配置することで、隣棟の影響を避けより直射日光と通風を得る事が可能です。
・プライバシー性の向上
先程述べたようにリビングは滞在時間の長い空間で、くつろぎたい空間です。特に住宅密集地の1階リビングの場合、常時レースカーテンなどを閉めた環境になることが多いです。レースカーテンも透けないような厚手のものになってしまいます。そうなると暗くなりますし、窓の外が見えないだけで開放感も異なってきます。
2階リビングであれば、レースカーテンを開けて外の景色や空を眺めることが出来ます。これだけで、かなり開放感が異なってきます。2階リビングの場合、バルコニーも設置する事が多いですので、バルコニー手すりを適切な高さにすれば、そとからの視線も気になりません。
・眺望の確保
こちらの効果は全ての人が理解していると思います。景観が良い土地の場合更に重要になります。
・防犯性の向上
LDKには大型の掃き出し窓などを設置します。1階に設置すると窃盗犯が入りやすくなります。1階には小さい窓や天井付けの高窓などを配置すれば物理的に侵入を防ぐことが出来ます。
・開放的な空間設計が可能
2階リビングは、天井高を確保しやすく、勾配天井や吹き抜けを取り入れることで、より広がりのある空間を作ることができます。梁を見せるデザインやロフトスペースの活用も可能になり、デザインの自由度が高まります。
J様邸も片流れ屋根で勾配天井にすることで天井高さを確保して広い開放的な空間にしております。
・冬の温熱環境が良い
理科の授業でも習いましたが、暖かい空気は上に上がります。ですので、建物内で発生した熱が2階のリビングに上がってゆきます。1階と2階では温度差が出る位2階の方が暖かいです。また、日射取得が良いので当然太陽光で得られる日射取得熱も得やすいです。
屋根が近いので寒いのでは?と思いますが、それよりも熱が上に上がる効果の方が体感温度としては高いです。1階リビングでも床からの寒さは有るので、そこまで変わりません。
次に2階リビングのデメリットです。
【デメリット】
・生活動線の負担
こちらが最大のデメリットと言えます。家の中での動線に必ず階段の上り下りが入ってきます。ですので、何をするにも動線が長くなります。1階がランドリーの場合、2階ベランダで洗濯物を干す場合は2階に運ばなければなりません。※最近では乾太くんなどの乾燥機も普及しましたので、乾燥はランドリーでの完結をお勧めします。その他はゴミ出しなどです。逆転の発想で考えれば、階段の上り下りが頻発するので足腰の運動にもなります。また、毎日その生活をしていれば慣れてしまい、苦ではなくなります。
・老後の住みにくさ
階段の昇降があるので足腰の運動にはなりますが、やはり最終的な老後では階段の上り下りは負担になるので避けた方が良いです。ですので、将来的には2階リビングの家に住み続けるのは難しくなるかもしれません。
・屋外空間の使いにくさ
庭が大きい場合の1階リビングであれば、庭と一体化した設計が可能です。例えばウッドデッキや大きいタイルデッキなど。2階リビングではその利点が活かせません。バルコニーを広くとることで解決できますが、庭に直接出られる1階リビングに比べると、屋外空間の活用がしづらくなります。
・夏の暑さ
メリットで冬の暖かさを上げましたが、逆に夏場は熱が上に上がってくるので2階の方が1階よりも暑くなります。また、屋根が近いことは冬よりも夏の方が暑さで実感します。夏場の屋根に降り注ぐ熱量が莫大です。2階リビングにする場合、しっかりとした屋根or天井の断熱を施し、夏場の対策をして下さい。
以上メリット・デメリットでした。
メリット・デメリットどちらを優先するのか?人によって優先順位が異なるので、一概にこっちとは言えません。子育てが終わって老後の家として考えるならば、1階リビングや平屋住宅です。まだ20代で足腰がしっかりしていて、日当たりを優先したいならば迷わず2階リビングです。
メリットとデメリットを天秤にかけて良い選択をして下さい。
2階リビングにした場合の日当たりシミュレーションでどの様に日当たりが改善するか?など事前にシミュレーション可能ですので、ご相談下さい。
くれぐれも、決断を先延ばしにして、変更できなくなった!という事態だけは避けてくださいね。
全ての人に後悔の無い住宅取得を。
建物ラボ




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