住宅の南の日射・日当たりがなぜ重要なのか?日当たり・日照を元に解説。南と東の日当たり比較も
- 建物ラボ
- 2024年7月1日
- 読了時間: 5分
注文住宅・新築住宅において、東面と南面の日当たり・日照の特性は、それぞれ異なる特性を持っています。LDKに面した同じサイズのサッシがあればどっちの方位も同じでしょ?と思っていませんか?
南面の日当たりは明るさ・室温など、住環境に与える影響は大きく、住宅設計上特別な方位と考えて下さい。重要なのです。
ここでは、日射の特性と室内の明るさに焦点を当てて、それぞれの違いを詳しく解説します。
今回は、南面の日射と東面の日射の特徴や違いを説明致します。
まずは東面の日射の特性より。
■東面の日当たり・日照の特性
1. 朝日を取り入れる事が出来る:
東面は主に午前中に太陽光を受けます。日の出とともに太陽が昇り、朝の時間帯に直射日光が差し込みます。このため、朝早くから部屋が明るくなるという特性があります。東面の窓からの明るさは、午前中にピークを迎えます。朝の光は強く、部屋全体を均一に明るくします。ですので、朝の活動を活発にし自然な目覚めを促進します。AM朝の時間帯の明るさを求めるならば、東面の窓は必須です。例えば、共働きで昼間不在の家庭の場合、朝の朝食の時間を明るくしたいのであれば、東側の窓配置を検討お勧めします。
2. 直射日光の強さ:
東向きの窓は、朝の直射日光を受けますが、昼以降には日射が少なくなります。特に夏の朝は、早朝から強い日射を受けるため、急激に室内が暖まることがあります。
3. 日射の持続時間:
日射が集中するのは午前中のみであり、午後には日陰になります。これは、午後から夕方にかけて室内が涼しくなるため、過ごしやすい環境を提供します。
続きまして南面の日当たり・日照の特性です。
■南面の日当たり・日照の特性
1. 一日を通じた日射:
南面は一日を通じて太陽光を受けるため、日射の量が最も多い方角です。冬季には低い太陽角度からの直射日光を取り入れ、夏季には高い太陽角度からの日射を避ける設計が可能です。南面の窓は、一日を通じて安定した明るさを提供します。朝から夕方まで均一に自然光が入り、室内全体を明るく保つことができます。これは、リビングルームやキッチンなど、日中に長時間利用する部屋に適しています。
2. 冬季の暖房効果:
冬季には、南面からの日射が部屋を自然に暖めるため、暖房の負荷を軽減します。これは、室内の温度を快適に保つために非常に重要です。
冬の太陽光による日射熱はあなどれません。関東であれば16520サイズの引違窓(幅1650㎜×高さ2000㎜)で、電気ストーブ1台分の熱量が得られるのです。※関東以外でも冬の時期に晴天率が上がるエリアであれば似た環境となります。無料で得られる暖房だと考えると、使わないと勿体ないですよね。
3. 日射遮蔽の必要性:
夏季には、日射が強くなるため、庇やブラインドを使って直射日光を遮る必要があります。適切な日射遮蔽によって、室内の過熱を防ぎ、快適な室温を維持できます。先程の2の項目で述べたように、電気ストーブ1台分の熱量が冬場入りますので、夏場はカットしないとその熱量が入ってくるという事になります。エアコンをどれだけ運転しても冷えない場合は、日射遮蔽に問題があると言えるでしょう。但し、夏場の南面の日射角度と冬場の南面の日射角度は異なりますので、適切な庇や軒の出をシミュレーションしないと、夏場の冬場の良いとこどりは出来ません。
■ 東面日射と南面日射の比較
1. 日射の時間帯:
- 東面:午前中に集中して日射を受ける。
- 南面:一日を通じて安定して日射を受ける。
2. 明るさの特性:
- 東面:朝の時間帯に強い光を受け、午後には減少する。
- 南面:一日を通じて均一で安定した明るさを提供する。
3. 季節ごとの影響:
- 東面:午前中の明るさが重要な活動に適しているが、午後には人工照明が必要になることがある。
- 南面:冬季には暖房効果があり、夏季には適切な日射遮蔽によって快適な環境を維持できる。
■ 結論
住宅設計において、東面と南面の日当たりの特性と明るさの違いを理解することは、住まいの快適性とエネルギー効率を高めるために重要です。東面の日射は午前中に強く、朝の活動をサポートしますが、午後には明るさが減少します。一方、南面の日射は一日を通じて安定しており、冬季の暖房効果や夏季の日射遮蔽を適切に設計することで、快適な住環境を実現できます。家族の生活時間や生活リズムを踏まえて窓の方位や配置を検討しましょう。
東面の窓と南面の窓どちらか選択可能であれば、迷わず南面の窓を追加・サイズUPなどを検討して下さい。それだけ、南側の日射と窓は住宅の明るさ環境上重要な方位の光なのです。
これらの特性を踏まえ、各部屋の配置や窓の設計を工夫することで、理想的な住まいを実現することが可能です。
次回予告です!
同じ建物・同じサッシサイズで方位のみ変えた住宅条件で、南面の窓のみの建物と東面の窓のみの建物で日当たりシミュレーションと室温シミュレーションを実施します。南面と東面の太陽光による日当たり・日射シミュレーションを実施し、どの様に直射日光が入るのか動画で比較します。同時に室温シミュレーションも実施して、方位別の日射取得熱も動画で比較します。

↑の形状の住宅(窓は1つ)にて、建物の方位のみ違う南と東の2種類の建物で、南面の日射と東面の日射の違いを数値(エビデンス)を用いて、日当たり・室温への影響をガチンコで比較します。
当然のことながら、室温に影響を及ぼすということは、電気代にも大きな影響を与えます!昨今電気代高騰しておりますので、見逃せない効果といえます!
お楽しみに。
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